糖質制限とカロリー制限を混ぜて実施していると、効果が半減、場合によっては無意味、下手をすると逆効果になってしまう恐れがある。
「ちゃんと糖質制限をしているのにうまく痩せることができない」
正しくやっているつもりでも、もしかしたら糖質制限とカロリー制限の知識が混ざっていて、間違った食べ方をしてしまっている可能性がありえる。
お肉より野菜。
サラダにはノンオイルドレッシング。
うどんよりそば。
食べるより食べない。
従来のダイエットの常識であるカロリー制限では、減らすのは総カロリーだ。
カロリーが高いのは脂質なので、第一に脂質が目の敵にされる。
よりヘルシーなものを食べる。
揚げ物やお肉やお魚などの脂っぽいものを控える。
そもそもの食べる量を減らす。
これはカロリー制限の考え方になる。
ヘルシーというのは油っこくないとか、野菜多めとか、塩分控えめな食事のこと。
たしかにカロリーは抑えられるけど、脂質を控える分を糖質で賄っていることが多いのが気になるところだ。
人がおいしいと感じるのは『塩』『糖』『脂』だ。
コマーシャルで『塩・糖・脂、塩・糖・脂♪』というのを聞いたことがあるかもしれない。
人が好む味付けは身体に悪いので、その対策をしようという商品を勧めるためのCMだ。
この『塩・糖・脂』の話はわりと重要だ。
人が好む味付けなので、塩も糖も脂が多いほどおいしく感じられてしまう。
すべてがバランス良く少なければまだいいのだが、偏り出すと問題が出始める。
糖質制限食だと『糖』を大幅に減らすので、主食を代用食品で補おうとするとモソっとした食感になりやすい。やっぱり普通の炭水化物とは違うというマイナスを消すためには『脂』と『塩』が多く必要になる。
素材の味をそのまま味わうのがベストなのだが、多様な味のバリエーションに慣れた現代では一気にその域に到達するのは難しい。
まずは代用品で対応となるのだが、低糖質の市販品は味付けが濃くなる傾向が強い。
低糖質カップラーメンなら糖質を少なくした分、食物繊維を多く使う。麺の材料がなくなってしまうからだ。
また、使う素材にもよるがたんぱく質や脂質もそれなりの量が含まれる。
全体をまとめるのに濃い味が必要なので、どうしても塩分が多くなってしまう。
もともと塩分が多いのがカップラーメンの特徴だが(ラーメン自体の特徴か)、ロカボカップラーメンなどは想像以上に塩分が多い。
あまりの塩分量に、スープまですべて飲み切るのはとてもオススメできないほどだ。
カップラーメンに限らず、外食でもロカボや糖質制限に対応したものは糖質が少なければ少ないほど味付けが濃くなる。
結局『塩糖脂』のバランスに相関関係があるので、どこかが減ればどこかが増える。
全部減らすこともできなくはないが、その分おいしさが犠牲になってしまう。
ただ痩せるだけならいいのかもしれないが、食事もある程度たのしみつつ痩せるという考えとはまるで相容れない。
糖質制限とカロリー制限が混ざってしまう危険は、この『塩糖脂』のバランスからやってくる。
たとえばマヨネーズはカロリー制限では食べてはいけない調味料の筆頭だ。
どう考えてもカロリーが高く、いわゆる『太った人の食べ物だ』
マヨネーズを使うくらいなら、ノンオイルのドレッシングを使ったほうがいいと考えるのも自然な話だろう。
脂質が少ないので、当然カロリーも低いからだ。
ところが糖質制限の視点だとまるで話が違ってくる。
マヨネーズは原材料がシンプルなため、糖質量がとても少なく脂質とたんぱく質が多い。
おいしさの決め手はズバリ『脂』だ。
ノンオイルドレッシングはノンオイルなので当然『脂』がほとんど含まれていない。
人が好む味付けの『脂』がないことで味気なくなってしまう問題を、『糖』を多くすることによって補っている。
脂質より糖質のほうが1gあたりのカロリーが少ないので、『脂』を『糖』に置き換えた差がそのままカロリーオフに繋がるのだ。
このマヨネーズとノンオイルドレッシングの関係のように、カロリーオフの商品をおいしくしようとしたら『糖』か『塩』に頼ることになる。
塩分が多いという商品は売れ行きが悪くなるが、糖質が多くなっても売れ行きにはあまり影響しない。
だから、『脂』を控えた商品は『塩』ではなく『糖』を多くすることで帳尻を合わせるのだ。
カロリーオフで脂質の削減が進めば進むほど、使われる糖質がどんどんと多くなっていく。
カロリー制限と並行して糖質制限を実施するのが難しいのはこのためだ。
糖と脂を同時に控えると低カロリーになりすぎてしまうので、どちらかの実施をするしかない。
糖質制限にカロリー制限の知識をハンパに加えてしまうと、この『塩糖脂』のバランスにより実際に自分が思っているダイエット方法が実践できていないことになる。
効果半減、混ぜ具合によっては逆効果すらもありえるほどだ。
良くある糖質制限の勘違いには以下のようなものがある。
「野菜を食べるといいと聞いたので、フライドポテトやポテトサラダを食べている」
「朝食には野菜ジュースやスムージー、生搾りフルーツジュースを飲んでいる」
「コーンサラダにノンオイルドレッシングをかけて食べている」
「天ぷらは脂が多いので、かけそばを食べている」
「白米ではなく玄米を食べている」
「食べない」
全体的にカロリー制限の考え方になっている。
勘違いは直せばいいので問題はないのだが、根本的に問題が感じられるのが以下だ。
「食べない」
カロリー制限は総カロリーを減らせばいいので”食べない”という選択もなしとは言い切れない。
ところが糖質制限では基本的に3食をしっかりと食べる必要がある。
なぜなら、糖質を制限してたんぱく質や脂質中心の食事にすると、思ったほど食べられずに食事量が減ってしまうことが多いから。
1日5食を推奨する人がいるのは、ちょっとずつたんぱく質を食べたほうが身体の維持に効果的という側面もあるからだ。
食べる量が減ってしまうと、1日に必要な栄養が摂取しきれない恐れがある。
特にたんぱく質の不足は致命的だ。
糖質制限が否定される理由で良く出てくるのが『筋肉量が減る』というものがある。
まさにこのことが、糖質制限のつもりでカロリー制限を同時にやってしまったために起こる現象であることが少なくない。
一番いいのは糖質制限+軽めの運動なのだが、運動は毛嫌いする人も多い。
となれば、糖質制限だけで筋肉量を維持する必要がある。
そのために体重✕1.5gくらいのたんぱく質を1日の間に摂っておくことが望ましい。
糖質制限を正しく実施していればたんぱく質が不足することはない。
どんなに糖質を摂らなくても、人の身体は良くできているもので『糖新生』の機能で賄われる糖で充分活動することができる。
摂るべきは糖質ではなくたんぱく質と脂質。それから各種ミネラルだ。
糖質を控えるつもりが実際に控えているのがたんぱく質や脂質であり、それで健康を害したりダイエットに失敗して『糖質制限はガマンばかりで効果がない』と言ってのける人が多いのが現実だ。
間違った糖質制限は、ごはんやラーメン、甘いものを我慢したのに効果がないという形で実施者を一気にアンチ化させやすい。
自己流の糖質制限を失敗したのを棚上げして、糖質制限すべてを一般化してディスる。
こうして『糖質制限は意味がなく、むしろ健康を害す恐れがある』という流布が起こってしまう。
正しい糖質制限を行いたいのであれば、ハンパな知識で我流で始めず先人の知恵を拝借すべきだ。
まずはどの食べ物にどれくらいの糖質が含まれているかをすぐに確認できるように、手元に『糖質量ハンドブック』を1冊用意しておきたい。
適当に食べていたものが思ったよりも高糖質であることを知るのは、この手のハンドブックを活用する以外に術がない。
自分で調べずに、自分の食べるものの栄養価を知ることはできないのだ。
家族や恋人、友人知人に管理栄養士や糖尿病医がいれば教えてくれるかもしれないけど、基本的に自分が能動的に調べるのが好ましい。
周りを見渡すと、ほとんどの商品パッケージの裏面か側面に栄養成分が書かれている。
意識して見れば、どの食品がどんな糖質量かを知るのは簡単だ。
普段まったく気にしていないから見えないだけの話なので、栄養成分を見る癖がつけばハンドブックなしでもなんとなくは把握できるようになる。
また、思い切った糖質制限『断糖』を実施したいのならば『糖質2.0』が理想だ。
ロカボでもスタンダード糖質制限でもスーパー糖質制限でもなく、断糖。
糖を断つ。
ストイックすぎるほどの糖質カウントにより、身体が糖を求めない状態に一気に切り替えることが可能となる。
断糖でケトン体質になれば脂肪燃焼状態に入れるので、今までどおりに食べても太りづらくなる。
燃えにくい脂肪を一気に燃焼する状態なので、お腹周りを含めて見た目がスッキリしてくる。
ただ、ケトン体質は糖質を摂ると元に戻ってしまうため、断糖後はスーパー糖質制限を実施すると効果が長続きしやすい。
巷に反乱する『間違った糖質制限』に対して一石を投じたのが『糖質2.0』だ。
ハンパにやるんじゃなくていっそここまでやるか、それが無理なら正しい知識でスタンダード糖質制限やロカボダイエットをおこなうのが望ましい。
間違った知識でせっかくのダイエットをしたいという気持ちが萎えてしまうのはとてももったいない。
正しい知識を身につけて、カロリー制限ではなく糖質制限をおこなうことで、脇道に逸れずにまっすぐに痩せる方向または健康的な方向に進んでいけるはずだ。
我流で糖質制限とカロリー制限を混ぜる日々はこれで終わりにしよう。
ちゃんとやればちゃんと結果が出る。
思い込みは意外と根深いので、ちょっとだけ勉強して正しい知識を身につけてもらいたい。
正しい知識を身につければ人生に大きな違いが出てくる。
それをダイエットしながらできるんだから、なんだか不思議な感じだ。
痩せる目的ならロカボで充分だと思っているヒースをフォロー。
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